比較同業他社バリュエーションの作成 Compsを選定すべか

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投資銀行部のジュニアアナリストの仕事の一つは、比較同業他社のバリュエーションの作成です。

全く聞いたこともない会社で、その業界に関する知識もない場合は、どのように同業他社を選べばよいでしょうか。

比較同業他社を選ぶときに、次の要素を考慮すべきです。

事業の面

  1. 事業内容(業界、対象顧客、商品、対象マーケット地域)
  2. 業界での位置
  3. 季節、経済状況による影響度合い

ファイナンスの面

  1. サイズ
  2. レバレージ
  3. 利益マージン
  4. 成長率のレベル

しかし、これらの面ですべて同じ会社は存在しません。多くの場合は、Compare apples to orangesのケースが多いです。

 

どのような情報リソースを使って比較他社を見つけられるか。

  1. エクイティーリサーチレポート
  2. 対象会社が上場会社である場合、この会社に関するアナリストレポートが一番効率よく同業他社が見つけられる情報ソース。リサーチレポートは、Thomson Oneから取得できます。
  3. 会社の上場目論見書、アニュアルレポート、10-kレポート
  4. その会社が開示している上場目論見書、アニュアルレポートに競合他社、業界の動向のセクションに競合他社の情報が記載されています。アメリカの上場会社の場合は、10-kレポートにCompetitionというセクションが必ずあります。その中で、この会社が思っている自分の競合他社に関する情報が記載されており非常に参考になります。
  5. 8-kのプレスリリース、M&Aに関する開示のFairness Opinionにも競合他社情報が記載されています。
  6. NAICS/SICコード
  7. Bloomberg、Factset、Capital IQなど情報端末を利用できる場合、比較同業他社のScreeningで業界コードを使って探すことができます。しかし、このやり方で見つかった会社は結構元外れのケースが多いので、他のリサーチ方法との併用が必要です。
  8. ニュースサーチ、Factivaなど、ニュースサーチサービスを使って、この会社と一緒に比較されて報道される会社を探します。
  9. 最後の一番良い手段は、チーム内の専門家、可能な場合はその会社の担当者に聞くことです。投資銀行部にセクターバンカーがいるので、セクターバンカーのアドバイスを聞いた上で作業した方が、時間の無駄にならないです。

このように、見つけた比較同業他社は、Peer Groupと言います。

比較同業他社のデータを使って、Football Field Chartというものを作成します。

Football Field Chartは、一枚の図に複数のバリュエーション手法で計算されたバリュエーションのレンジが表示されます。

Football Field Chartよく使用されるバリュエーションの手法は、DCF、Trading Comps、LBO、Transaction Comps、52Week H/Lなどです。