EU離脱によるロンドンの不動産価格への影響

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脱欧はイギリスの不動産市場にどんな影響を及ぼすか、これからのイギリスの不動産価格動向の予想は?と気になる方が多いでしょう。

脱欧によるイギリスの不動産価格への影響について考えてみます。

 

 

まず、脱欧直後は為替の変動でポンド対米ドルが大幅に下落しました。米ドルベースでイギリスの不動産を購入する海外の投資家は直ちに約11パーセントのディスカウントを受けることになります。

 

ポンド安で海外の投資家がよりイギリスの不動産を購入しやすくなり、イギリス不動産市場への資金流入が増えると予想され、イギリスの不動産価格の大幅な下落は見込めないとロンドンの不動産関係者が話しますが、果たしてそうでしょうか?

FTによると、イギリス不動産市場の大きな特徴は、外国籍の保有者の割合が高いところです。特に百万ポンド以上の物件に関しては、49%の保有者は、外国籍のオーナーです。彼らはイギリス不動産の救世主になると、悪役になるか分かりませんが、価格形成に重要な役割を果たすことは確実でしょう。

 

This is the sector with the highest concentration of non-UK owners. In April the rating agency Moody’s estimated that foreign nationals accounted for 49 per cent of sales of homes worth £1m and above. With Britain experiencing its biggest political experiment in a generation, it is likely that, villains or saviours, this group will play a pivotal role.

出所: Financial Times

 

ロンドン不動産を購入する海外投資家のうち、約80%はEU圏外、ロシア、中東、中国の購入者です。 イギリスはEUの一部だから買った人はほとんどいないのではないか。

今のタイミングは、ポンド安で彼らにとって売却のチャンスというより、購入のチャンスです。

ロンドンのプライマリーマーケットの不動産価格は2014年10月のピークから8%も下落しました。

長期的に脱欧でイギリス活動する企業が減り、雇用も減ることでイギリスの不動産需要が減り値下がり効果があります。

しかし、長期的にみると、ポジティブな見方もあります。特にロンドンは、ワールドシティーというステータスは脱欧した後でも保てるでしょう。

英語環境、豊かな芸術、便利なグローバルコネクション、健全なITセクター、ダイバシティーを受容できる環境などなど、ロンドンは変わらず世界的に魅力的な都市であり続けるでしょう。

 

With London’s prime market cooling — average prices in prime central London have dropped 8 per cent since their peak in October 2014, according to Savills — many are now selling on the secondary market in order to avoid losses, says Johnny Male, of local agent Daniel Cobb.

Longer term, a positive outlook seems likely because London will probably hang on to its “world city” status. High employment levels may take a drubbing but some of its other world city qualities look like they will remain intact: a forgiving political and physical climate, English as the main language, good IT sector, handy timezone, flourishing arts, lush parkland and excellent global connections.

出所: Financial Times

 

一方で、脱欧の影響を大きく受ける金融セクター、10万以上の仕事は欧州大陸にリロケートされると言われています。金融街の近くのCanary Wharfでの不動産の賃貸、購入需要が大幅に減るでしょう。そのあたりはもともと学区が悪くて富裕層には人気ないですが、金融業界で働く若者に人気です。 ロンドンでの金融の仕事が減ると、Canary Wharf地域での需給バランスが悪化し、価格下落の可能性が高いでしょう。

新興住宅地ではなく、Mayfairのような昔から富裕層人気がある地域は価格が下がりにくい。雇用に頼らない本物の富裕層がロンドンという大都市の魅力を求めて買っているからです。 ロンドンからの企業転出や雇用状況の悪化の影響を受けにくい地域です。東京の3A地域と言われている千代田区と似ています。

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