ロンドンNHSの夜中緊急医療

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昨日の夜、急に呼吸困難に陥り近所のSt. Mary’s HospitalのEmergency対応を体験して来ました。

イギリスに来てから、かなりNHS(National Health Service)にお世話になっています。

昨年の7月から、咳が止まらずに初めてNHSに行って受診し、その後も色々あり頻繁にNHSに足を運んでいます。

昨夜は、夜中12時半過ぎに急に呼吸困難になり、左手の麻痺や軽い吐き気、冷や汗等の症状が出て、心筋梗塞ではないかと心配して近くの病院、St. Mary’s HospitalのEmergency に駆け込みました。

このSt. Mary’s Hospitalは、最近ケイト王妃の出産でおなじみのイギリス王室ご用達の病院、Westminsterの大きな公立病院です。

今まで健康そのもので急に命に関わりそうな症状が出たこともなく、しかも異国の地で言葉も医療システムのよく分からない状態で、本当にパニックになりそうでした。

何とか冷静を保って、近所の緊急外来のある病院を探しつつも、ネットで心筋梗塞の症状をチェックすると当てはまりそうな気になってきて、ますます怖くなり、これはもう病院に行かなければと思い、夫と病院に行くことしました。

救急車を呼ぼうかと思いましたが、イギリスで救急車を呼ぶと高くなりそうで、自分でSt. Mary’s Hospitalに歩いて行くことにしました。その時点で、放置するとまずいが、すぐには命に別状はない感じだったので、歩いて行くことが出来ました。

St. Mary’s Hospitalに到着すると、まず大きな病院のためEmergencyの入口が分からない! 地図を見て何とかEmergencyの入口を見つけて、病院に入って行きました。

まず、受付で整理番号を取り待つ。その待合室に、すでに私以外に2組が待っていました。待ち時間約20分、看護婦に呼ばれ症状を聞かれて血圧と酸素量を図られました。

看護婦に、「I felt difficulty in breathing, numbness in my left hand, slight sickness in my stomach. Is it myocardial infarction?」

「呼吸困難、左手の痺れ、軽い吐き気を感じ、心筋梗塞ではないかと心配です」と、伝えました。

どうやら血圧も正常で酸素量も99%と正常でした。

看護婦は、「I will sent you to UCC, you will see a doctor.」 と言われました。UCCは、このEmergencyの建物から出て、別の入口から入るところにあります。

UCCとはUrgent Care Centreの略称で命に危険のある場合ではないが、GPでの治療を待てない緊急措置が必要な場合に行く場所です。

UCCで更に、待ち時間10分、名前が呼ばれ医者が見てくれました。

医者に症状を説明して、医者に聴診器で呼吸の音を聞いてもらって、医者から次の病名を告がれました。

過換気症候群

英語では、Breathing Panicと言っていたような気がします。

その医者の説明によると、これは心筋梗塞と全然関係ないもので、命の危険のあるものではない非常に頻繁にみられる症状です。(Very usual presentation)

呼吸が出来ないと自分で思いこみ、頑張って呼吸し過ぎるせいで、酸素を一生懸命取りすぎた反面、体内の二酸化炭素を排出できず体内にた溜まり、手の痺れや吐き気を感じる。でも本当は、呼吸が出来て酸素も足りているし、心理的なものだから命の危険があるものではない。

治療方法は、薬ではなく、紙袋を用意し、その中でしばらく呼吸すれば治るらしい。

とりあえず、心筋梗塞など深刻なものではないと聞いて安心し家に帰って来ました。

家に帰ってネットで過換気症候群を調べてみました。ある病院のウェブサイトで見た症状は、確かに私の症状そのままでした。胸の苦しさと命の危険のある恐怖を感じるものです。

今回の経験から学んだことは、イギリスの緊急医療システムです。

数年前に、香港で旅行中に急に父は心筋梗塞の発作が起こりそうになって、私が走って「救心」の薬を買って来た記憶があります。幸い、薬で収まり別状はありませんでしたが、お父さんはどれだけ不安だったか想像できません。 どこに病院があるかも分からず言葉も通じない旅行先の慣れない場所で命の危険を伴う病気の発作する恐ろしさ。幸い、香港の薬局は夜中でも開いていて漢字圏なので薬はわかりやすかったです。

イギリスは、夜中に薬を買える場所がないので、自宅に緊急に備える薬が無かったらNHSのEmergencyやUCCに行くしかない。

イギリスで救急車を呼ぶ場合の費用を調べてみました。

救急の医療は旅行者や短期滞在者でも無料のようです。通常の診療はGP(General Practitioner、かかりつけ医)に登録してある居住者以外はNHSを受けることができず、私立病院を勧められるようです。

日本でも、救急車は今の所無料のようですね。

外務省のウェブサイトに世界の医療事情というウェブサイトがあり、各国の医療事情を見ることができます。旅行に行く前に、事前に外務省で行先の医療制度、緊急医療の仕組みをチェックすべきだと今回の件で実感しました。旅行先で緊急な病院で入院したり、手術したり、場合によって自国に返送されたりすると、膨大な費用になるので、やはり旅行保険が必須です。

イギリスの医療制度は、NHSという無料の国の医療制度とプライベートの病院があります。NHS病院であれば、診療は全部無料で薬代がかかります。

プライベートの病院は全部自費負担、大手企業の場合は、会社の保険でプライベート病院の費用を一部カバーする制度もあります。

NHSにしても、プライベートにしても診察の際にはまずその病院のGPが診察し、必要に応じて専門医への紹介が行われます。