中国A株暴落、「株災」から「株慌」へ、何が起きているか。

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中国のA株市場で何が起きているのか?

中国政府が株価支援政策を強力に打ち出したにも関わらず、株式市場が下げ続けた。

今週に入ってからの動きのまとめを見てみましょう。

76日(月) 

終値:上海株2.41%上昇の3775.91、深セン株1.39%の下落、12075.76、創業ボードは4%の下落。

週末に株価支援政策を発表されてからの初取引日はさすがに上がった。上海株は3%近く上昇し、特に国有大手企業の金融、石油関連株が上がった。

77日(火) 

終値:上海株1.29%下落の3727.12、深セン株5.80%の下落、11375.60、創業ボードは5.69%の下落。

取引は大幅な下落で開始し、一時3600を下回った。政府の支援資金が市場に流入し銀行、石油、及び「中国」で始まる国有企業が上がり、創業ボードは約6%下がった。上海、深セン両市場合わせて1700銘柄がストップ安となった。

その中でも、国有企業銘柄は堅調に値上がりした。中国銀行、中国交建、中国人寿、中国鉄建、中国平安の5銘柄はストップ高、中国中鉄、中国紙華は9%の値上がり。一方で、船舶、軍事工業、高速道路、農業関連銘柄は大幅に下落した。

これ以上の下げを防止するために、中国政府が取った措置は、なんと取引停止だった。

ブルームバーグの集計によると、6日の取引終了後に約200銘柄が売買停止となり、これで取引停止は計745銘柄になった。本土の取引所に上場している企業の26%に当たる。大半は中小企業が多い深圳証券取引所の上場企業だ。 1700銘柄ストップ安、745銘柄取引停止というすごい状態になっていた。

 78日(水) 

終値:上海株5.9%下落の3507.19、深セン株2.94%の下落、11040.92、創業ボードは0.51%の下落。創業ボードの下げ幅は前の二日と比べると、大幅に縮小したが、株価支援資金が創業ボード銘柄に向けられたのかもしれない。

A株市場は、引き続き暴落が継続中。上海株は約6%の下落、3500ぎりぎりで取引を終えた。金融、石油株でさえ下がったこの日、上海、深セン両市場で約1000銘柄がストップ安となった。7日と同様、政府の支援資金が市場に流入し銀行、石油、及び「中国」で始まる国有企業が上がり、創業ボードは約6%下がった。

中国株は連続三週間で暴落している。政府は、IPO停止、証券会社連盟の支援ファンド設立、信用取引の取引回数制限、政府による株価支援資金の捻出など、力強い支援政策を発表されたにも関わらず、下げが止まらない。

中国国内では、これは中国の習進平政権を揺るがすための陰謀論だとか、バブルの調整論などが飛び交わっている。

中国政府が一番気にしているのは国内の安定だ。今までは、政治への不満は経済成長がもたらす収入増と生活レベルの向上による満足感で爆発しにくくなっている。株式市場の暴落で生活基盤が脅かされた国民は政府への不満が一気に爆発しやすくなる。

この日は、ニューヨーク取引所はシステム障害で取引が3時間半ほど全面停止した。

中国のCSRCの担当者の心の中できっと「システム障害を口実に取引全面停止!この手もあったか」と囁いている。 

中国で株式取引所開設する当初、鄧小平がこう語っていた。

「株式取引所はなぜ資本主義しかできないものか、社会主義の国でも株式取引所を運営できる。ダメだったら閉めればよい」

株価が暴落すると、沢山の銘柄が強制的に取引停止になる中国のやり方を見ると、株式市場であっても政府は何でも決められると中国共産党政権が思っているように見受けられる。

 

中国のWechatでこの数日間流行っているブラックジョークがある。

「最近聞いた一番ひどい罵り言葉、

―あなたの一家は全員株式取引やっているんだね。

―あなたの一家は、全貯金をつぎ込んで株式取引をやっているんだね。

―あなたの一家は、取引停止にならない創業ボードの株に全貯金を注ぎ込んでいるんだね!」

 

ギリシアのデフォルトが懸念され、ニューヨーク市場のシステムダウンで全面取引停止、中国株式市場が政府の強力な支援策が発表されたにも関わらず大幅に下落し続ける、どの国も私も!私も!と言わんばかりに、ネガティブなビッグニュースで注目を集めている。

ただ一つ私にとって有難いことに、久々に対ボンドで円高になった。一時期190より下がった円は、186まで円高になった。